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2011年4月 7日 (木)

メタマテリアルのロードマップ(2)

前回に続いて、メタマテリアル研究の最新動向を、OSAの学会誌 Optics & Photonics News (OPN)の記事から紹介する。繰り返しになるが、このブログに載せるのは英語の記事の一部を抄訳したものなので、正確な内容が知りたい方は、原文を読んでいただきたい。また、管理人の物理学の知識の乏しさと英語能力の限界から、翻訳した和文は機械翻訳のようにぎこちないが、我慢してもらいたい。

今回は、スイッチング素子と超電導のアプリケーションについて、

■スイッチング可能なメタマテリアル

すべてのデータ処理を光でおこなう、いわゆる”光コンピュータ”が実現するためには、光に反応して屈折率と吸収特性を高速で正確に変化できる非線形材料が必要だ。これを既存のナノ構造電子デバイスや分子デバイスで実現することは非常に難しい。通常これらの材料は顕著な反応を示すためには反応時間がかかったり、デバイス自体が扱う光の波長に対して短か過ぎるからである。

メタマテリアルのスイッチングはMEMSアクチュエータを使って実現できることが、テラ・ヘルツおよび遠赤外の領域では確認されているが、レスポンスは遅い。一方で、メタマテリアルの共振構造と半導体を組み合わせることで、レスポンスの早い非線形デバイスが実現できる。これは基板に金属フレームワークやカーボンナノチューブ、フラーレンなどを有機層に埋め込んだもので半導体や多重量子井戸構造を作ってハイブリッド化する。

実験的には、GaAs基板に注入または光励起でキャリアを発生させ、テラ・ヘルツでの制御が確認できている。最近の研究では、単層カーボンナノチューブ半導体との組合せで、CNT自体のレスポンスよりもさらに1オーダー上のレスポンスを得たという報告もある。これは共振プラズモン励起の効果である。

相転移材料はスイッチング機能に用いられる重要な材料だ。繰り返し読み書きが可能な光学ディスクにはカルコゲン化合物が使われている。これは、与えられる光によって、結晶相とアモルファス相に変化する。この特性に似た材料で酸化バナジウムなどがある。また、多角体ガリウム(?)は誘電体とプラズモンの特性をダイナミックに変化する特性があり、これもひとつの候補となっている。

導電性酸化物の薄膜からキャリアを注入して誘電体特性を大きく変化させる可能性もある。グラフェンはその意味で魅力的な材料だ。印加電圧によって制御する電磁波の波長をシフトすることも期待できる。最近の報告で、強誘電材料と貴金属のレイヤー構造でプラズモンを制御し、変調可能なメタマテリアルもある。

■超電導および量子材料

超電導メタマテリアルは、データ処理とIT分野で、最近注目を浴びている。非常に感度の高い超電導特性と非線形特性を備えており、非常に小さいエネルギーでのスイッチングが可能である。負の誘電特性とkinetic resistance によって、メタマテリアルを非常に興味深いプラズモン材料にしている。さらに、超電導特性によって、情報のキャリア自体の持つ特性も変えている。すなわち、従来のメタマテリアルでのプラズモン励起から、フラックスの量子化と量子干渉効果による量子励起に変わる。そもそも、メタマテリアルで使われているスプリットリングの配置は、超電導におけるジョセフソン・ジャンクション・リングと基本的には同じものである。

超電導におけるジョセフソン・リングのアレイは、すなわち量子メタマテリアルである。それぞれのメタ分子は位相キュービットを作るための多段量子システムになっている。しかし、ニオブを用いた超電導メタマテリアルは電波の領域までで、高温超電導材料を用いたとしてもテラ・ヘルツまでだ。これは、高周波側にいくほど超電導の位相を乱すからである。

一部の研究者は、ニオブフィルムと高臨界温度ペブロスカイト系クプラートを用いてメタマテリアルを作製した。しかし、ジョセフソン・リングを大面積に作製するのは非常に高度な加工技術が必要で、現状では難しい。

以上
 

 

 

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