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2013年1月25日 (金)

イノベーション考(4)

いま世界で起こっているイノベーション

アメリカでは、もう20年も前から新技術の研究開発はベンチャー企業が担っている。

 大企業は、キャッシュフローの健全化と株主利益の確保が求められ、中長期の研究開発というリスクを保有する余裕がない。一方で、優秀な研究者やアイデアを持った人たちは、会社の中でそれを実現できないことが分かっているので、会社を飛び出して自分でベンチャー企業を作る。大学の教授にいたっては、教授のポジションを維持したまま“二足のわらじ”で自分の会社を作る。これをスタートアップと言いう。企業側もそれを承知していて、新技術は社内で開発するのではなく、そういったスタートアップでモノになりそうな会社と提携したり、それを買収することで技術を調達する。

アメリカのスタートアップ企業(特に製造業)は、自らが成長する将来像を描いていない。スタートアップが資金を集めるために作るビジネスプランには、必ず“Exit Strategy”(直訳すると脱出戦略)という項目がある。一昔前はここにIPO(株式上場)と書くケースが多かったが、今ではほとんどが“Acquisition”(買収される)と書いている。つまり、製品やサービスが完成して客がついた段階で、将来見込める利益を含めて会社を売却して、創業者利益を得る。

ここ数年で成功している企業の特徴は、ブランド力、ファブレス、ネットだと言われており、その代表格がアップルだ。(ネットビジネスでは、FacebookやDropboxなど多くの成功例があるが、ここでは製造業を主体に議論する。)

ご存じのとおり、初期のiPhoneやiPadには、最先端の技術はなにも使われていない。新いのはタッチパネルの使い方とiTunesやApple Storeと連携した使い勝手とサービスだ。アンドロイドやWindows8が普及した今でも、アップルの使い勝手の良さは圧倒的だ。

アップルの例に代表されるように、いまアメリカのビジネス現場でおこなわれているのは、ビジネスモデルのイノベーションだ。自社の技術や製品をひとつのピースとして、社外にある別のピースと組み合わせる。自社が持っているのが技術である必要はなく、それが販売チャネルだったり、製造能力でもそれは可能となる。問題は、いかに自社にお金が落ちる仕組みを作るかだ。

スタンフォード大学の“Dスクール“が目指しているのも同じような視点だと私は理解している。”D“ はDesignのこと。異分野の人たちからなる学際的なグループで物事やサービス、製品などを”デザイン“する活動で、MBAに代表される”ビジネス“に対して”デザイン“という概念を提唱している。

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