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2013年2月22日 (金)

イノベーション考(8)

 

ビジネスモデルを自分で作る



以前の回でも述べたように、ビジネスモデルというのが正しいかどうか、自信がない。バリューチェーン(あるいはサプライチェーン)と言った方が良いかもしれない。自分的にはエコシステムという言い方が最も当てはまると思っている。

オープンイノベーションというと、複数の会社が協力して何か新技術を開発するというイメージを持っている人が多いと思う。これも以前の回で言ったが、“イノベーション=新技術開発”ととらえてはいけない。いま必要なのは、ビジネスモデルのイノベーションで、すなわちエコシステムを自分で作ることだ。それを“オープン”でやるということは、複数の会社と協力をして、エコシステムを作ること、それがオープンイノベーションである。

現在進行中のオープンイノベーションの最も優れた例は、ノルウエイのベンチャー企業でThinfilm Electronics という会社だ。この会社は印刷プロセスでメモリやトランジスタを作ろうとしている。彼らが自社でやるのは、基本コンセプトと初期的な試作だけ。デバイスの設計はシリコンバレーのPARC (XEROXの研究所)で行い、誘電体ポリマーはベルギーに本社を置く化学メーカーのSolvey、プラスチックフィルムはDupont Teijin、そして生産は米国のSoligeと韓国のInkeTekに委託している。こうやって作ったデバイス(現在は20bitのメモリ)を使って、アプリケーションの開発をグリーティングカードのメーカーや食品パッケージのメーカーと共同で始めている。アプリケーション開発はすべてThinfilm Electronicsが主導している形だ。

彼らのやり方がうまいと思うのは、協力している全ての会社にメリットがあって、Win-Winの関係を実現している。同時に、デバイスの基本コンセプトは自社で押さえて、さらにアプリケーション開発の部分のイニシアチブを取っている。材料、設計、生産はすべて外部の会社に任せている。つまり、オープンにするところと自社で持つべきところを明確に区別していて、しかもその区別のしかたが、日本企業のそれとはまったく違う。

結果として、Thinfilm Electronicsは、ものすごいスピードでデバイスの開発をしていて、アプリケーション側の会社から大いに注目されている。

この考え方をモデル化するために、レイヤーによるエコシステムとして考えてみた(下図参照)。この図はワイヤレスセンサーのケースで、プラットホームのレイヤー、デバイスのレイヤー、そしてアプリケーションのレイヤーで構成される。同じレイヤーにいるプレーヤー(会社)は競合関係にあることが多く、別のレイヤー同士でみると補完関係になることがわかる。このモデルについては、別の機会に詳しく説明したいと思う。

B





以上で、このシリーズを終了します。このブログでの考察が、日本企業の皆さんが、自らのイノベーションを考えるきっかけになれば幸いです。今後も世界で起こっているイノベーションを注視して、さらに考察を続けていきたいと思いますので、またいずれ機会をみて紹介できればと考えています。


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