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2013年2月16日 (土)

イノベーション考(7)

 

ソリューションとして提供すること



「部品だけでは売れなくなった」と感じ始めたのは6~7年前くらいからだろうか。リーマンショック後はその感覚をより確かな実感として感じるようになった。ただ、東北の震災で多くの日本の工場が生産不能になった時に、世界中で自動車や電気製品の生産が滞った事態をみて、不謹慎な言い方だが、日本の部品がなければ世界でモノがつくれないことが証明された。

そうは言っても、世界の大きな流れをみると、やはり部品だけでは事業がしにくい状況が進んでいることは間違いない。コモデティ化という言葉はあまり好きではないが、他に適切な言葉が思いつかないので、この言葉を使うことが度々ある。

部品だけでは売れなくなったと言ったが、正しくは部品だけでは利益が出せなくなった、ということだろう。どんな高度な技術を使った部品を作っても、2~3年で同じものが中国から出てくる。これでは、開発費の回収すらできないだろう。

その証拠は、世界最大のエレクトロニクスショーのCESで見ることができる。ラスベガス・コンベンションセンターのメインフロアに、中国の家電メーカーが大型のブースを構えるようになった。これは去年から始まった傾向で、今年はさらに規模が拡大していた。驚くべきは、そこに展示してある製品のレベルが高いことだ。どの製品も日本や韓国製品と同じようなレベルの“美しさ“に仕上がっている。TVやスマホのケースの成型品やその組立てが非常にきれいにできている。中身の性能も押して知るべしだろう。

このような状況の中で、日本メーカーが利益を確保する方法はあるのだろうか。部品や製品だけでは、すぐに中国メーカーから同じものが出てきてしまう。利益を出すためには、その製品の使い方を含めてユーザーに提供することを考える必要があるだろう。それが、ソリューションとして提供するということだ。

最終製品を作るセットメーカーから部品メーカーに対しては、提案型の部品供給が求められている。すなわち、この部品を使うとこんな新しいコトができます、という提案をしてもらいたい。場合によっては、最終製品の形や使い方のシーンまで提案する必要がある。

たとえば、何かのセンサーを売るためには、それを使ったアプリケーションやさらに広げた社会インフラのようなものまで取り込んだ提案をする必要があるのではないだろうか。その時に、シーズから出発した発想をすると、プロダクト・プッシュになって失敗する。マーケット・プルのアプローチをすることが重要である。

セットメーカーも状況は同じだ。数年前から各社が展示会に出しているスマートTVがなかなか普及しないのは、ハードウエアの提供にとどまっているからだろう。番組の保存・検索はもちろんだが、コンテンツ配信まで取り込んだサービスとして提供できるようにならなければ、本当の意味でのソリューションにはならない気がする。



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