« イノベーション考(4) | トップページ | イノベーション考(6) »

2013年2月 3日 (日)

イノベーション考(5)

 

日本の企業に必要なイノベーション

 

イノベーションという言葉を辞書で引くと、「これまでとは異なった新しい発展。刷新。革新、新機軸」(小学館)とある。これを「技術革新」ととらえてはいけない。なぜなら、製品や技術だけでは利益を生み出すことができない世の中の状況になったからだ。

前回のアップルやDスクールの例からわかるように、いまアメリカのビジネス現場でおこなわれているのは、ビジネスモデルのイノベーションだ。自社の技術や製品をひとつのピースとして、社外にある別のピースと組み合わせる。自社が持っているのが技術である必要はなく、それが販売チャネルだったり、製造能力でもそれは可能となる。問題は、いかに自社にお金が落ちる仕組みを作るかだ。

要点は次の3つだと考える。
1.Product Pushではなく、Market Pullで考える
2.ソリューションとして提供する(単なる部品や機能ではなく)
3.広い意味でのビジネスモデルを自分で作る

以下に、要点を解説してみる。

1.Product Pushではなく、Market Pullで
これは、市場のニーズに基づいた製品開発ということで、どの企業も当然やっているはずなのだが、実際にはそうなっていない会社も多い。特に部品メーカーでは既存の顧客の範囲しか見えていない場合も多いので、常により広い範囲での市場トレンドや技術トレンドを観察する努力を続けてもらいたい。

2.ソリューションとして提供する(単なる部品や機能ではなく)
またアップルを例にだすと、スマートホンという製品を作って売るのは彼らのビジネスのほんの一部にすぎない。その使い方やそれを使うためのプラットフォームを提供することがビジネスのコアであり、そこが他の携帯電話メーカーと大きく違うところだ。これこそが、ソリューションとして提供するということだと考える。
別の例で、ある日本企業が医療用の検査装置を開発して、それが非常に性能のいいものだった。米国で販売できないかと考え、実際に米国の病院で医者に試してもらった。その医者のコメントは、病院内のネットワークへの繋ぎ込みやレポート機能を付けて、“業務”として完結できるようにしてくれたら使いたいと思う、という内容だった。この医者が求めているのは、検査機器ではなくてソリューションだということだ。

3.広い意味でのビジネスモデルを自分で作る
ビジネスモデルという言葉が適切なのかどうか、実は私も自信がない。もっと広くとらえて、ECOシステムと言ったほうがイメージに近いかもしれない。もう少し具体的にいうと、サプライチェーン全体を設計して、その中での自社の役割とポジショニングを明確にすることだ。そして、そのサプライチェーン全体のイニシアチブを握ることが重要な点だ。自社の役割は主要部品の生産だけでも、周辺の部品や完成品の形態・使われ方までイニシアチブをとるような仕組みを作ることである。表面的にはパートナー企業とWin/Winの関係を作っていながら、実際には自社に最も多くの利益を誘導できるようなフレームワクを構築する。そのフレームワーク(またはECOシステム)は全体としてソリュ-ションを提供するものでなくてはならない。



    欧米での新技術調査、オープンイノベーションのご相談は TechnoScape, LLC まで。

« イノベーション考(4) | トップページ | イノベーション考(6) »

テクノロジー・サイエンス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: イノベーション考(5):

« イノベーション考(4) | トップページ | イノベーション考(6) »