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2014年12月 7日 (日)

TSensors Summitより

前回に続いて、TSensors Summitを取り上げる。今回は、会議の内容の一部を具体的に紹介しよう。

 

まず、今回のホスト役でもある地元のUniversity of California, San DiegoJacobs School of Engineering Qualcomの創業者の寄付で規模を拡大し、その名前をつけた。カリフォルニア大学の中で最も新しく、最も規模の大きいエンジニアリング・スクール)に ”Center of Wearable Sensors” を設立した。センサーやウエアラブル・システムの研究をしており、特に皮膚表面でのセンシングに力を入れている。開発中のテーマをいくつか上げると:

eスキン・タトゥーセンサ(ケミカルセンサ)

・プリンタブル・テキスタイル・センサ

・低侵襲マイクロニードル(センサ、ドラッグデリバリ)

・皮膚パッチ型エナジーハーベスタ、他

 


Ucsd1_2

(出展:University of California, San Diego

 

 

次に、IoXWorksCTOFog/Swarmコンピューティングについて解説をしてくれた。Fogはご存知のとおり「霧」のことで、Swarmとは「ミツバチの群れ」の意味。簡単にいうと、センサーや記憶装置といった、データ収集の“現場”に近いところで処理をする“エッジ・コンピューティング”のこと。現在はクラウドにデータを集めて、そこでビッグデータの解析をする。それを意味のある情報に加工してユーザーに送る構造になっている。それを、クラウドまで行く必要のないものや負荷の少ない計算は、センサーやメモリなどの“現場”で処理しようということだ。

 

これから、クラウドに集まるデータ量が爆発的に増えることを考えると、エッジ・コンピューティングは必須だが、それにはルール作りやセキュリティの確保といった大きな課題がある。大きな市場が期待されているeヘルスでも、セキュリティは深刻な課題。

IoTは今まさにHypeカーブの頂点に来ているが、こういった課題を解決できるかが市場への移行のカギになるだろう。

 

Ioxworks

(出展:IoXWorks, Inc.

 

 

次に、具体的なデバイスをひとつ紹介する。

 

University of California, Los Angeles

テラ・ヘルツの発信源をレーザーと表面プラズモンでつくるという研究。テラ・ヘルツはたんぱく質やDNAなどの分子の固有振動数と重なる領域なので、今後の応用が期待されているが、使いやすい発信源がない。この研究は、微細構造の金電極にレーザー光を照射してテラ・ヘルツの発信をさせるというもの。受光側も同様の微細構造+表面プラズモンの構成をとる。金電極を3Dの微細構造にすることで、23mWの出力が可能という。

 

Ucla

(出展:University of California, Los Angeles

 

 

最後に、このTSensors Summit の代表の Dr. Janusz Bryzekが農業について、衝撃的な数字を示してくれた。(以下はその一部を抜粋したもの)

 

農業について・・・

Ÿ 世界の人口は今の70億人から2050年には90億人に増えると予測されている

Ÿ そのうち10億人が食料不足の状態になる

Ÿ 国連によると、今後35年間で食料の生産量を70%増やす必要がある

 

農産物は、

Ÿ 1カロリーの食料を生産するために10カロリーの石油を使っている

Ÿ 窒素肥料による水質汚染が深刻化

 

水産物は、

Ÿ 底引き漁により、毎年1,550Km2の海底が破壊されている

Ÿ いまのペースでいけば、2048年に海産物がなくなる

 

農業に対する新技術の可能性は、

Ÿ 現在は、地球上の水の使用量の70%を農業が使っている

Ÿ 水耕栽培にすることで、水の使用を70%効率化することができる

Ÿ 空中栽培にすることで、水耕栽培のさらに70%効率化ができる-現在の70%の使用量を6%にできる

必要な技術は、

Ÿ 温度センサー、PHセンサー、養分フロー管理

Ÿ バイオセンサー

Ÿ AI、ロボット

精密農業は年率12.2%の成長が期待されている。2020年には$4.6Bの市場になる。

 

畜産は、

Ÿ 人間は、摂取カロリーの10-20%をたんぱく質から取る必要がある

Ÿ 家畜生産のエネルギー効率は非常に低い (投入:収穫=54:1

- アメリカだけで年間400億頭の家畜が、食用として殺されている

- 農地の70%は家畜の飼料のために使われている

- 家畜が排出する温暖化ガスは世界中の自動車より多い

- 家畜が土壌汚染と温暖化の最も大きな原因

Ÿ 食用肉の需要は2050年までに倍増する

 

必要な技術は、

Ÿ ワイヤレスセンサーによる家畜の健康モニタリング

Ÿ 魚介類の養殖

Ÿ 培養肉

 

 

 

 

 

 

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