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2015年1月10日 (土)

CES 2015 で見えてきた流れ

 

今年もラスベガスで開催されたCESに行ってきた。個別の展示内容はいろいろな記事や速報で伝えられているので、ここでは私が個人的に感じ取った、ショー全体の感想を書き出してみる。

 

 

今年のCESは主催者の発表で過去最高を記録した。総展示面積は20万m2。およそ450m四方といえば実感がもてるだろうか・・・ 来場者は4日間で約17万人だった。

 

 

今年、CESの会場で、日本から見学に来た知り合い何人かに会った。事前の約束もしていないで、あの広くて人の多い会場でバッタリ会ったので驚いた。その人たちが口をそろえて言う。「今年は目新しいモノがない。規模こそ大きいが、CEATECとあまり変わらない。」

 

 

本当にそうだろうか? 私は、コンスーマーエレクトロニクスの流れが変わったと見ている。確かに大型のOLEDテレビや3Dのような革新的な技術は見られなかった。(まあ、そんな革新的なものを毎年出せと言うほうが無茶だ。革新は地道な開発努力の積み重ねだ。)しかし、今年のCESでは、大きな二つの流れの変化がある。ひとつは韓国勢の減速で、もうひとつはウエアラブルや自動運転などのIoEだ。

 

 

新規性のある技術が見られなかった今年、韓国勢(つまりはSamsungLG)はテレビもスマホ・タブレットも質の向上を訴求する展示になっていた。というか、新しいものがないので、中身の改善しかやりようがない。これは3年前に日本の家電メーカーが経験した道のりだ。日本メーカーは3年前から中身の改善とともに、用途の提案に力を入れてきた。今年はテレビは4Kが(展示品として)標準になり、ここにきて韓国と日本が同じ土俵に乗り、両者の差が縮まった印象だ。

 

 

これからが本当の勝負になると思う。世界の人口増加、中間層の爆発的な増加による需要に対して、日本、韓国、中国のメーカーがどのように供給体制をつくるのか。

 

 

一方で、日本国内の人口減少はすでに始まっている。労働人口の減少と世界一の高齢化社会で、どうやって産業シフトを実現するか。これまでは政治に任せていた社会構造の改革についても、産業界が担う役割は大きいはずだ。

 

 

二つ目の流れはIoEだ。 IoT (Internet of Things) ではなくて、流れはもうIoE (Internet of Everything)になっている。ガートナーのハイプ・カーブも去年の夏のバージョンでIoTが頂上にあった。

 

 

今年のCESの最大の特徴はウエアラブルと自動運転が去年に比べて爆発的に増えたことだ。CESの展示会場のレイアウトでも、今年はヘルスケア、ウエアラブル、スマートウォッチといったゾーンを設定して、明確なトレンドを形成している。展示されていたウエアラブルの大部分はリストバンドとスマートウォッチだ。機能面では、加速度センサーを使ったアクテビティ・トラッカーがほぼ100%で、一部に光学式の脈波(心拍)計を搭載しているものがある。ヘルスケアの観点から見ると、脈拍だけでなく体温、血圧、心電図、血糖値などを計測したいのだが、そういったセンサーはまだ開発されていない。

 

 

ウエアラブル端末が本当に普及するためには、さらに機能を増やして使い勝手をよくする必要があると感じている。今年発売されるモデルは、まだ機能不足で、そのために$300支払って、しかも毎日充電の手間をかけるというのは考えにくい。今後のさらなる開発に期待したい。

 

 

もうひとつ、ウエアラブルで見逃してはいけないトレンドは、ファッション性の問題だ。これまでのリストバンドやスマートウォッチは、いかにも“ガジェット”といった感じで、ファッションには程遠い見てくれだ。去年の後半からファッションブランドとリストバンドのコラボが始まっている。CESに出展していたのはSWAROVSKIだけだが、他にもTory BurchDiane Von Furstenbergなどが参入している。

 

 

自動運転は、GPS、車車間通信、インフォテイメントなど膨大な技術の集積が必要だ。まだ始まったばかりなので、開発の進み具合は各社で差が見られる。展示の内容だけで比べると、ヨーロッパの自動車メーカーが1歩先行しているように見える。ただ、自動運転のためには車を電化(つまり電気自動車や燃料電池車)する必要があり、その点では日本メーカーが先を行っている。米国の自動車メーカーは出遅れた感じが拭えない。

 

 

今年のCESで最も注目を集めた自動運転車は、Audi A7 でのサンフランシスコからラスベガスへの自動走行実験と、メルセデス・ベンツのコンセプトカー”F015”だろう。

 

 

Audi A7の自動運転改造車は屋外に展示してあり、後ろのトランクルームにはコンピューターが詰め込んであった。10年前には、自動運転のためのコンピューターが車に入りきらないと言われていたので、大きな進歩だ。

 

ベンツのコンセプトカーの実物は初日のみの展示で、2日目にはシカゴの別のイベントに向けて搬出されていた。特徴的なのは、対面座席になっていて、人がまったく運転に係わらない前提でのデザインだ。衝撃的ではあるが、それにしては外観が自動車の形をしているので、まだ“車”の領域を出ていないということか・・・ ちょっと残念。

 

 

 

 

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