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2015年5月17日 (日)

マーケット・プルで行こう!(2)

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お客様が求めているのは、お客様のもつ課題を解決すること。単なるモノではなく、サービスや全体としてのソリューションを求めている。使われている技術や製造プロセスには興味はない、と青木氏は説いている。

マーケティングという言葉を、日本の人たちは間違えて理解している。そもそもマーケティングとは、4PすなわちProduct, Price, Promotion, Placeで構成されている。日本語にすると、製品、価格、宣伝・販売、流通だ。製品の中には開発と生産が含まれる。日本の人たちはPromotion=宣伝・販売の部分だけがマーケティングだと思っているフシがある。私が30年前にアメリカでMBAをとって、直後に帰国して日本のメーカーに就職したときから、このことに違和感をもっていた。マーケティングはセールスのことではなく、事業全般を含んだ活動であるべきなのだ。

上記の三菱重工の青木特別顧問の言われていることはまったくその通りだ。講演では、バリューチェーンを見直して、自社のポジショニングを確立しなさいと説く。お客様のニーズからすべてが始まる。

私はこれを「マーケット・プル」と言っている。つまり、市場から引っ張ってもらう。ニーズに合致したソリューションを用意すれば、お客様から買いたいと言ってくれる。逆に製品を作ってから用途を探すことを「プロダクト・プッシュ」と言う。言葉の通り品物を押し付けるということ。これでは売れない。

ところが、いまだに多くの日本企業が「プロダクト・プッシュ」をやっている。ひと昔前、国内やせいぜい米国といった単一の市場で、しかも製品が行き渡っていない時代であれば、セールスの腕次第で売れたのだろう。しかし、市場がグローバル化してサプライチェーンもグローバル化した今では、通用しなくなった。

そこで登場するのがオープン・イノベーションだ。しかし、これも日本の人たちは間違って理解していると思う。一番ひどいのは、産官学連携がオープン・イノベーションだと思っている人たちがいる。あるいは、複数の企業が集まって仲良く協力することが、オープン・イノベーションだと考えている人たちもいるようだ。どちらも間違った理解だ。

本当のオープン・イノベーションとは、バリューチェーンの中で自社の役割を明確に位置づけて、その中にいる他の会社と連携をして、新しいビジネスモデルを作る。その中で、自社に最大の利益が得られる策略を練って、利益の源泉となる部分を自社に保有したまま、他社とwin-winの関係を作っていく。最終的には、ECOシステム全体を制御できる立場を構築していく。ビジネスモデルによっては、必ずしも自社で主要な技術や生産を担う必要はないが、肝心な部分(例えば、企画・設計、流通、認可、他)でECOシステムの要になるモノを手放さないしたたかさが必要だ。

ECOシステムを作る手段として、スタートアップの買収は非常に有効で、米国の先進企業は20年も前からやっている。そのスタートアップの“供給" 基地がシリコンバレーだ。グローバル市場になった今、その重要性と有効性はますます大きくなっている。シリコンバレーの特性やスタートアップの活用については、このブログの以前の記事でも触れているので参考にしてもらいたい。

(最後に愚痴をひとつ・・)
安部首相は、日本から200社をシリコンバレーに送り込むと言った。送り込んだからといって何とかなるものではないだろうに、と思う・・・送り込まれた会社が、せめて食い物にされないことを祈る。

    欧米での新技術調査、オープンイノベーションのご相談は TechnoScape, LLC まで。

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