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2015年7月 9日 (木)

テレビ市場もガラパゴス化

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久しぶりに日本の家電量販店でテレビ売り場に行ってみた。アメリカではほとんど見ない日本メーカーのテレビが溢れているのを見て、日本メーカーの健在ぶりを確認することができて、嬉しい思いがした。

ところが、何かが違う気がする。違和感というか“正しい姿ではない”という、何かザラついた感触のようなものを感じる。日本だけが、海外から隔離されて独自の進化をしていて、それで日本の消費者が損をしているのではないかと思う。

何がどうしてそう感じるのかを、うまく表現できないので、とにかく日米の現状を見たままに比較してみる。

(日本のテレビ売り場)

Ÿ 一部を除いて、日本メーカーの製品でフロアが溢れている。

Ÿ どれも画質がよく、とてもキレイ。

Ÿ 4Kを全面に出した展示をしているし、店員も4Kを勧めている。

Ÿ 値段が高いが、そのなかに型落ち商品は極端に安いものがある。

Ÿ 全体として、高画質競争が高じて、品揃えのバランスがハイエンド側に偏っているという印象。

Ÿ LGOLED TVをフラッグシップにして、他のLCD TVを展示している。

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(米国のテレビ売り場)

Ÿ 売り場の中心にはSamsungTVが場所をとって何台も展示されている(全体の半分くらいがSamsungLGの製品)。

Ÿ 日本メーカーのTVは端のほうで、展示してあるのはソニーとシャープくらい。

Ÿ VIZIOなどの低価格品もある。

Ÿ 4KもあるがHDと半々くらいの展示で、4Kを強調したディスプレイにはなっていない。

Ÿ 低価格帯の製品があり、それに引っ張られて、ハイエンド品の価格も安くなっている。

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最大の違いは、日本の売り場に(一部のLG製品を除いて)韓国製品がないことだ。

日本の消費者が韓国製品を拒絶しているため、家電量販店は日本メーカーに特化した売り方になる。日本という閉じた市場で販売台数も決まっているので、利幅の大きいハイエンドモデルを売りたい、というのが量販店の方針だろう。そして、高画質モデルに販売の軸足を置く。

一方、米国ではSamsungが一番のメーカーになっている。二番手はLG。その次にソニーとシャープが続く。もちろんVIZIOなどの低価格品もある。

ちなみに、米国の量販店での販売価格を何軒かでメモって来た。日本の製品は、価格.comの売れ筋製品を上位から6点くらい、販売価格を拾ってみた。それを集計したものを、下のグラフに示す。日本と米国では売れ筋のサイズが違うので、単純な比較はできないと思うが、大まかな傾向は見ることができる。

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このように、日本のテレビ市場が世界から隔離された状態にあることで、日本の消費者は約50%割高な値段で買っていることになる。日本の場合は量販店が販売価格を決めているので、それはすなわち消費者の嗜好や動向を反映している。つまり、日本の消費者は自分たちでこの状況を作り出していることになる。もちろん個人のレベルでこんなことを意図しているわけではないので、集団の行動としての結果なのか。

視点を変えれば、LCDパネルの生産を韓国と中国のメーカーに奪われてしまった日本メーカーの、必死の生き残り策なのだ。パネルは取られたけど、画像エンジンの技術はまだ日本の方が勝っているのは事実だろう。しかし、それも時間の問題だということは、日本メーカー自身が一番理解している。今はそれを武器に、日本という城に篭城して兵糧攻めにあっている。産業界と消費者が一緒になって城を守ろうとしているようにも見えるのは、私だけだろうか。

このまま篭城を続けられるのだろうか。日本国内の人口減少は始まっている。世界の人口は増え続け、購買力のあるミドルクラスが爆発的に増加する。戦う場所は日本ではなく世界のはずだ。(そんなコトは解っている!という経営者の声が聞こえそうだ。)

米国パナソニックの社長が、どこかの講演でこう言っていた。 “We must stop making what we can make. We need to start making what we should make.”

 

 

    

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