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2015年10月25日 (日)

OTT Video

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OTT Videoという言葉を聞いたことがあるだろうか。Over-The-Top Videoといい、インターネット回線を使ったビデオ配信の総称で、Youtube, Hulu, Netflixなどのサービスのことだ。特に、高画質の映画やTVプログラムを配信する“プレミアム”サービスだ。

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ハリウッドの業界で今もっともホットなトピックスのひとつだ。関連する言葉で、TV EverywhereMulti-screen TV, mobile 1st などがある。また、従来のテレビ放送やケーブルテレビの放送を“リニアTV”と呼び、放送は数年で“死ぬ”とも言われている。

日本のテレビを見ていると、ホントなのかと感じるが、アメリカにいるとかなりの部分で納得できる。

実際、私が住んでいるロサンゼルスの南の地域で、アンテナで受信できるテレビ放送は、数十チャンネルあるが、まともな英語の番組は2局しかない。チャンネル数は多いのだが、古い番組の垂れ流しやスペイン語、中国語、韓国語の放送ばかりだ。(ちなみに日本語の放送も1局だけあるが、内容は極めて貧弱で放送時間の1/3NHK Worldの英語のニュースだ。)こんな状況なので、テレビをみるのは朝晩の地元のニュースと交通情報くらいがせいぜいだ。(年中天気がいいので、天気予報はあまり役に立たない。)

一方で、ケーブルTVは料金が高い割に、欲しいチャンネルがない。プランごとのパッケージ料金になっていて、300チャンネルとか言っているけど、大半が見る気もしないチャンネルだ。我が家では、ケーブルTVは2年前に解約してしまった。

今は、自前のストリーミングで日本の自宅からTV番組をアメリカの自宅にダウンロードしている。さらに、足りない分はYoutubeで観ていて、それで我が家の最低限のニーズは満たされている。今後は、便利さを求めて、そろそろNetflixを始めようかと思案中である。

OTT Videoに課題がないワケではない。例えば、Netflix$8.99を払ってすべてのTV番組が見られるわけではない。HuluNetflixではみられる番組が違う。それぞれの会社が番組の制作会社と契約をして配信しているので、契約の数で番組の多さが決まる。

ハリウッドの業界が今取り組んでいるのは、配信の形態とユーザーインターフェイスの統合、そしてボトムラインである利益創出のモデル作りだ。

現状ででは、プロバイダー毎にアプリがあってとても煩雑だ。観たい番組を探すのも苦労する。アプリケーション・アグリゲーション(アプリの統合)は直近の課題で、マーケティング戦略とビジネスモデルの構築に直結すると同時に、ユーザーエクスペリエンスとしてもとても重要だ。

番組の検索や推奨番組の提示機能が未熟で、ユーザーは不便を感じている。Netflixで探して見つからなければYoutubeにいって、それでもなければGoogleで検索する。これを統合するとしたら、アプリをまとめるアプリが必要で、それぞれのレベルで課金が生じることになり、買う側はコストアップになるし、売る側は手間が増えて取り分が減る。混乱を解決するために、さらに大きな混乱を作ることになりかねない。

もう少し大きな視点で話をすると、TV番組や映画のプロダクションは"メーカー"で、大手の放送局やケーブル会社が"仲買と卸業"の役割をしている。NetflixAmazon Primeは"小売り"で消費者に届ける役割で、番組自体を売るか広告収入を得るかのビジネスモデルをとる。アンドロイドTVやアップルTVはユーザーが画面を見ている時間をとにかく増やしたい。TVでも映画でもゲームでも構わないので、とにかく画面を見ている総時間が長いほど、多くの広告収入を得られる。OTTが普及することで、従来のTV放送に置き換わるのではなく、1日の中でスマホでもタブレットでも家のテレビでも、見ている総時間を増やしたいというのが彼らの狙いだ。同時にユーザーが便利になる。

課題は多いが、OTT Videoの流れはさらに進んでいく。今年に入って新たなサービスがタケノコのように出てきている。個人のユーザーとしては、より便利で安い視聴手段を得るために注目していきたい。また、仕事としては新しいビジネスモデルをいち早く捕まえるために注目していきたいトピックスだ。

 

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