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2017年2月 4日 (土)

Amazon GO

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Amazon GO という言葉を聞いたことがあるだろうか。ポケモンGOのパクリではない。Amazonが開発している、完全無人レジのコンビニだ。昨年12月に発表されてから、あちこちで話題になっている。

最大の特徴はRFIDを使っていないことだ。RFIDは15年も前から実用化されていて、IBMや他の企業もレジの自動化に使えるという構想を描いている。しかし、いまだに実現していない最大の理由はRFIDのコストにある。現状では商品の識別にはバーコードが使われているが、これはパッケージや値札を作るときに同時に印刷するので、バーコード自体のコストはほぼゼロである。RFIDが1個5円でできたとしても、その分のコスト増は受け入れられない。

一方、Amazon GO RFIDを使わずに、カメラ、赤外線、圧力センサ、重量センサ、光カーテンなどのセンサの集合体、それにコンピュータビジョンと深層学習を組み合わせて自動精算を実現している。自動車の自動運転と同じような技術構成だ。

現状は、シアトルのAmazon社内に1箇所のみの試験運用で、Amazon社員のみが利用できる。今年の早い時期に、システムを一般にも提供すると言っている。

具体的な技術の内容はAmazonから発表されていないが、方々の記事から想像すると、おおよそ以下のような仕組みだ。

まず、事前登録した“客”が入り口にある“ゲート(自動改札のようなもの)”を通ると個人が認識される。商品の棚にはカメラや各種センサがあり、商品を棚から自分のカゴに取ると、その場で商品を認識してその“客”の口座に課金される。商品を棚に戻すと、自動的に課金が消去される。買いたいものをカゴに入れて、そのまま“ゲート”を通過して外に出ることで、課金が確定して指定口座(あるいはクレジットカード)から引き落とされる。店内で現金やクレジットカードは一切受け付けない。

Amazon GO の紹介ビデオがYoutubeにアップされている。

https://youtu.be/NrmMk1Myrxc

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技術的には大きく3つの機能が必要となる。一つは、動作の識別(棚から商品を取ったのか、棚に戻したのか)、二つ目は商品の識別(品目、品番、価格など)、そして三つ目は客の識別だ。

動作の識別は、棚の全面に張り巡らせた(見えない)光のカーテンを通過した“手”の動きで判断する。それを、棚に組み込んだ重量センサやカメラの画像が補完する。

商品の識別は、カメラの画像から、色や形状、場合によってはパッケージの番号などから商品を特定し、似たような別商品がある場合は、重量センサや圧力センサ、赤外センサなどが補完する。

客の識別は、おもに客が持っているスマホなどのモバイルデバイスを用いるが、顔認識も使われている可能性がある。

このシステムだと、商品側にRFIDのようなコスト増が必要ない。逆に販売店側に初期投資が必要になるが、人件費のランニングコストを減らすことができるので、ペイバックは容易だろうと想像する。

 

アメリカのスーパーのレジが遅いのは昔から有名な話だ。実際、あるスーパーでは“レジを早くします”というTVコマーシャルをやっているくらいだ。最近では、セルフのレジが増えてきて、そちらを利用するひとも多い。そういう観点でみると、レジの自動化は客の側にもメリットがある。

一方、アメリカのスーパーでは、一旦カゴに入れた商品で買うのをやめたものを、そこらに適当に置いていく人が多い。スーパーに限らす、家電の量販店でもホームセンターでも同じだ。これをやられると、Amazon GOのシステムは成り立たないかも知れない。

また、野菜などはどうやって品物と値段を見分けるのだろうか・・・

さらに、レジ係りの仕事が無くなる、つまり社会の雇用が減るシステムだ。トランプ大統領の怒りをかわなければよいが・・・

疑問は多いが、期待もできそうなAmazon GOだ。

 

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