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2017年11月 3日 (金)

見えてきた、2030年の技術社会(4)

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見えてきた、2030年の技術社会 ~イノベーションからフュージョンへ~ 第4回

 

 

地域社会のエネルギーインフラ(後編)

 

前回は家庭用太陽電池とリチウムイオン電池が製品化された話をした。ここまでは、既存の技術の延長で、少し便利になる程度の変化にすぎない。

 

次の展開として、仮装発電所;Virtual Power Plant (VPP) という考え方がある。まだコンセプト段階で、一部で実証実験が始まっている。ある程度のエリアの家や施設をグループにして、地域内の太陽電池などの発電設備と家庭用蓄電池を統合的に運用する。地域内の発電量と蓄電量で地域内の電力需要を賄える場合は、グリッド(電力会社)から電力を購入する必要はない。グリッドからみれば、その地域が一つのユーザー(あるいは一つの変電所)のような位置づけにできるので、管理や契約が簡単になる。

 

VPPの域内では、住宅に設置された太陽電池やスマートバッテリーが分散している状態なので、それを一つのシステムで運用する必要がある。これをマイクログリッドと呼ぶ。

 

細かく見れば、自分の家の電力を他人が使う、あるいは他人の家の電力を自分が使うという状況が生じることになる。よく言えば“融通し合う”、悪く言えば“勝手に使う”ということになるので、近所同士でのいざこざの原因になりかねない状況だ。

 

VPPが実現すると電力供給のパラダイムシフトが起こる。これまでのように電力会社から電気を買うのではなく、地域の資産として電力が存在していて、それを住民で分配するということになるだろう。

 

所有権の主張や不公平感を無くすためには、たとえば家の太陽電池パネルと蓄電池は(家に付属しているが)所有者は地域の電力を管理する事業主体にすることが考えられる。あるいは、太陽電池パネルと蓄電池はリースしているという形をとる。そして、住民は電気代を払うのではなくて、機器のリース費用を払って、電力は自由に使う。こうすることで、電力会社への電力需要を減らして、ひいては発電所の数や規模を縮小することにつながる。このコンセプトは、原発ゼロ実現のためのロードマップの重要な部分を占めるはずだ。

 

問題になるのは、だれがVPPのアグリゲータ(事業主体)になるのか、どんなビジネス形態にするのかが何も決まっていないことだ。たとえば、市町村のような自治体がVPPの事業主体になって、非営利の事業としてやるのか?それで事業の継続性が担保できるのか? それとも、営利企業として利益を上げながら運営するのか?その場合適正範囲の利益であることや、コスト高にならないことをどうやって担保するのか・・・ 等未解決の課題は多い。

 

また、マイクログリッドになると、そこに電気自動車(EV)を参加させることが考えられる。つまり、EVのバッテリーを地域の蓄電池として使う。その場合、自動車の所有権が誰かによって利害が生じる可能性もある。

 

こういった課題がすべて解決したとき、電力供給のパラダイムシフトが完了する。

 

 

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