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2018年8月 8日 (水)

見えてきた、2030年の技術社会(8)

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見えてきた、2030年の技術社会(8) ~ DNA活用はここまで進んでいる

 

前回の記事で、「2050年の技術~英エコノミスト誌編集部」という本の解説をした。その中で、“DNAが新材料の設計図になり、情報の記録媒体になる”というテーマを上げたが、実はその内容があまり理解できていなかった。

その後、たまたま仕事でDNA技術の最先端のベンチャー企業を訪問する機会があり、現状を知ることができたので、ここで概要を紹介したい。

MITからのスピンアウトでボストンにあるその会社は、DNAシーケンシングのプロセスをほぼ自動化している。毎日大量のDNAシーケンシングをして、その情報を自社のデータベースに蓄積している。

彼らのビジネスは、客先からの要望に基づいて、タンパク質やバクテリアに特定の性質を持たせるための設計をすることだ。DNAの塩基配列をデータ化して、その配列と自然界での特性を対応させたデータベースから、目的の特性を得るための塩基配列を探す。その配列をもったDNAを合成して、それを客先に提供する。そのDNAを使って合成したタンパク質が、たとえば洗剤の臭いビーズの原料になる。また、バクテリアの性質を改変するDNA操作をして、それを客先に提供する。それを培養して増やせば、例えばプラスチックを分解するバクテリア製品になったりする。

一方、タンパク質を構造材料に使うための研究も多く、有名なのはスパイダーシルク、つまり“蜘蛛の糸”だ。くもの糸は機械的強度が強いことで知られている。これを人工的に作ることができれば、たとえば防弾スーツや航空機の機体に応用できる。すでに世界でいくつかのベンチャー企業が開発をしており、大きく2つのアプローチがある。一つは、DNAを操作した蚕に“くもの糸”を作らせる。もう一つはDNAを設計してタンパク質を合成するアプローチだ。いずれも実用化には至っていないが、試作品はできている。

もう一つのキーワードは発酵だ。みそや醤油、ビールにワイン、チーズなど発酵で作られる食品は世界中にある。この発酵プロセスが、将来のSustainable(持続可能)で分散型の生産プロセスのプラットフォームになる。DNAを操作した細菌を使って、発酵によって目的の物質を作り出す。必要なのは温度管理と酸素や一酸化炭素などの環境管理だけで、大掛かりな装置や大量の電力は必要ない。いま石油を原料にして作っているほとんどのものが、自然由来の発酵プロセスで作り出される可能性もある。

 

 

 

 

 

 

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