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2018年8月12日 (日)

カーナビがなくなる日

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パイオニアが、業務提携や再建支援の要請に動き出した。昨年12月のこのブログの記事「2017年中の変化(2)」で、純正のカーナビ搭載車が激減したことを掲載した。米国ではすでにスマホのナビが主流になっており、カーナビメーカーのビジネスの衰退を懸念している。それが現実になって表面化したのが今回のパイオニアの支援要請だ。

カーナビの普及は日本が主導してきた。自動車に単価が20万円もするパーツが新たに付加されたのは、カーナビが最後の製品だ。ただ、携帯電話と同じように、カーナビも日本だけ特異な進化をするガラパゴス化が進んだ。DVD搭載、ネット接続、HDモニタといった高機能ナビは、海外では高級車のみへの搭載にとどまり、一般の車はPNDPersonal Navigation Device)と呼ばれる後付けのポータブル型が主流だ。今はそれもなくなり、みんなスマホのナビを使っている。

アップルは”CarPlay”、グーグルは”Android Auto” という名前でカーナビ画面でスマホをエミュレーションする機能を提供している。これは、カーナビの画面に自分のスマホのアプリが表示されて、そこからスマホを操作できる機能だ。ナビもその画面からスマホのモノを使う。我が家のアコードには液晶画面だけがついていて、ナビの機能は入っていない。はじめからスマホを接続することを前提にしている。

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今年1月にラスベガスで開催された家電展示会“CES”で、パイオニアは自社の展示ブースで、 Apple CarPlayへの接続を前面に出した。これは、カーナビがスマホへ全面降伏したことを示す。来年からは携帯電話の5Gサービスが始まり、スマホのナビはさらに進化するだろう。

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この流れはナビがなくなるだけでは止まらない。今はスマホがカーナビを奪い取った状態だが、車の制御に係る部分もいずれスマホに吸収される。(その時にスマホが現在の形をしているとは限らない。)自動運転のユーザーインターフェイスはスマホになる。別の言い方をすれば、自動車自体がスマホ化する。あるいは、スマホにモーターとタイヤをつけたものが車だ。

見えてきた、2030年の技術社会(2)」の“自動車業界のパラダイムシフト(後編)”で述べたように、電気自動車が自動運転のプラットホームになり、ITメーカーが車を制御する。そして、GoogleApple, Uberが既存の自動車メーカーの工場を使ってファブレスの自動車メーカーになる。

そこにあるのは、自家用車は持たないライフスタイルであり、シェアリングエコノミーであり、個人レベルのアセットライトだ。こういった未来を見据えたうえで、パイオニアが復活を果たすことを祈りたい。

 

 

 

    

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