論文も運転もAIで
AIがものすごい勢いで進化している。ニューラルネットワークを使った機械学習・ディープラーニングはあらゆる分野で活用が始まっている。
今月見つけたリチウムイオン電池に関する論文はAIが書いたものだった。Springerという出版社がβ版で発行した「Lithium-Ion Batteries – A Machine-Generated Summary of Current Research」という本だ。過去3年間に発表されたリチウムイオン電池に関する53,000件の論文を検索して作った“まとめ論文”だ。興味のある人は下のリンクから読むことができる。
https://link.springer.com/content/pdf/10.1007%2F978-3-030-16800-1.pdf
機械が本を書くというのは、おそらくこれが最初のケースだろう。本の執筆の他に、病気の診断や新薬の開発、ポリマー材料の設計、DNA解析、囲碁、クイズ番組、株取引、感情モニタ、翻訳、スケジュール、ドローン飛行など驚くほど多くのことがAIで行われている。
自動運転もAIを使っている。4月22日にTeslaがTesla Autonomy Dayというイベントを開いて、完全自動運転のための新しいコンピュータと人口知能のプレゼンテーションをおこなった。人口知能ハードウエア、ソフトウエアそしてデータ収集についてそれぞれの開発責任者が説明した。4月から生産されるすべてのTesla車に搭載されている。また、これまでに販売されたTesla車で自動運転機能を購入しているユーザーの車は順次アップグレードしていく。
Teslaは独自にニューラルネットワークのGPUを開発して、その性能は144TOPSという超高性能だ。一般のCPUの画像処理が60フレーム/秒なのに比べて、2100フレーム/秒という処理速度を持っている。
ニューラルネットワークでは、各階層で不要なデータをどんどん捨てていき、最小の負荷で高速の計算ができるアルゴリズムを開発している。
Teslaはすでに累計で50万台を販売しており、近い将来100万台に達する。それらの車はすべて実際の道路を走っていて実際の運転状況を記録している。Teslaはその膨大なデータを使ってAIの学習を継続しており、TeslaのAIはどんどん賢くなっていく。
Teslaの自動運転コンピュータとニューラルネットワーク(Tesla Autonomy Dayより)
Tesla Autonomy DayのビデオはYoutubeにあるので、興味のある人は下のリンクからみられる(4時間くらいの長いビデオで、最初の1時間はプロモーションビデオで、実際のプレゼンは1時間10分あたりから始まっている。)
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