« シリコンバレーの真実 (第1回)シリコンバレーの秘密 | トップページ | マーケット・プルで行こう! »

2019年8月10日 (土)

シリコンバレーの真実 (第2回)研究開発アプローチの歴史

700akira1  

 

今回は過去にさかのぼって、日本と米国(特にシリコンバレー)の研究開発アプローチの歴史を振り返ってみる。

 

1.バブル期の前後

 

1980年代の日本では、欧米の大手コンサルタントがポートフォリオ分析を導入して、研究開発戦略を日本の企業に広めた。企業の現場では、R(研究)、D(開発)、E(エンジニアリング)、P(生産)といったフェーズ管理が取り入れられた。

 

同じ時期、シリコンバレーは創成期にあって、マイクロソフトやアップルが成長し、それに続くシスコ、オラクルなどシリコンバレーのロールモデルが誕生した。

 

バブル崩壊後の1990年代の日本では、組織に焦点をあてた研究開発マネジメントが取り入れられ、マトリクス組織での研究開発のアプローチが行われた。

この時期のシリコンバレーは、企業の数が増えて多くのベンチャー企業がIPO(株式公開)を目差した。

 

“失われた10年”後、2000年代になっても日本の半導体・エレクトロニクス産業の勢いは戻らず、韓国企業の台頭で、日本はグローバル戦略に遅れをとった。企業では、キャッシュフロー経営が叫ばれ、研究テーマに対してはROIを求める傾向が強まったのもこの時期だった。

 

 

2.日本は停滞、シリコンバレーは躍進

 

2000年代のシリコンバレーは、ITバブル崩壊で勢いを失った大企業が、ベンチャー企業を買収することで技術の獲得に動いた時期で、この頃からシリコンバレーのスタートアップのExit戦略は”IPO”から”Acquisition”に変った。Design Thinkingといった開発アプローチが生まれたのもこの時期だ。この時期のシリコンバレーのキーワードは、「ネット」、「ファブレス」、「ブランド力」だ。IoT (Internet of Things) という言葉も生まれた。

 

2008年のリーマンショックとその後の円高で米国企業が沈み込んでいる時期に、一部の日本企業は海外の優良ベンチャーの買収をおこない、その後の成功につなげている。

同じ時期、2010年以降の米国では、GoogleやFacebookといったネット企業が大躍進をした。売上げのないスタートアップに何百億円という企業価値がつくこともある。その頃のシリコンバレーのキーワードは、「Solopreneurs」、「Generativity」、「Exponential Changes」、「Humanity」 だ。

 

 

研究開発アプローチの歴史

21-b

 

3.10年遅れの日本

 

バブル期前から日本の企業はマーケティング戦略において米国の後追いをしていた。2000年を過ぎたころからようやく日本企業もキャッシュフロー経営やROIに関心を持つが、すでに米国より10年以上遅れていた。バブル崩壊後の緊縮財政のやりくりとしてキャッシュフロー経営やROIを持ち込んだので、研究開発部門は著しく委縮していくことになる。それが2010年以降の閉塞感の一因にもなった。

 

一方、シリコンバレーはDesign Thinkingという新しい手法を編み出して、世の中にない製品やサービスを継続して生み出している。Design Thinkingについては、このシリーズの後半で触れるので、そちらを参照いただきたい。

 

 

 

 

    欧米での新技術調査、オープンイノベーションのご相談は TechnoScape, LLC まで。

 

« シリコンバレーの真実 (第1回)シリコンバレーの秘密 | トップページ | マーケット・プルで行こう! »

テクノロジー・サイエンス」カテゴリの記事