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2019年9月24日 (火)

マーケット・プルで行こう!

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1.日本の製造業への提言

 

数年前に、日経BPが主催するセミナーで、当時三菱重工特別顧問の青木素直氏の講演を聞く機会があった。 

「お客様が求めているのは、お客様のもつ課題を解決すること。単なるモノではなく、サービスや全体としてのソリューションを求めている。使われている技術や製造プロセスには興味はない。」と青木氏は言う。さらに講演では、「バリューチェーンを見直して、自社のポジショニングを確立しなさい。」、「お客様のニーズからすべてが始まる。」と説いている。青木氏は「マーケティング・オリエンテッドの製造業への転換」を訴えているのだ。

 

2.マーケット・プル

青木氏の主張は、今の日本の企業に必要なエッセンスをすべて含んでいると私は思う。これを一言で「マーケット・プル」と言いう。つまり、市場から引っ張ってもらうということだ。ニーズに合致したソリューションを用意すれば、お客様から買いたいと言ってくれる。逆に製品を作ってから用途を探すことを「プロダクト・プッシュ」と言いう。言葉の通り品物を押し付けるという意味だ。同じ意味合いで「テクノロジー・プッシュ」という言葉がある。製品のさらに上流にある技術の段階から、自分たちの持っている技術で製品を作って売ろうとしているという意味だ。

多くの企業が「プロダクト・プッシュ」をやっていることは言うまでもない。ひと昔前、国内やせいぜい米国といった単一の市場で、しかも製品が行き渡っていない時代であれば、セールスの腕次第でモノが売れたのだろう。しかし、ネットが普及してスマホであらゆる体験ができるようになった今では、それは通用しなくなった。

 

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2.B2CB2B

そうは言ってもコンスーマー向け(B2C)で新しい“何か”を作ろうとしても、顧客(市場)が何を求めているかがわからない。顧客自身も何が欲しいのかが言えない。鉄道のない時代に“新幹線が欲しい”という人はいない。しかし、江戸と大坂をもっと短時間で往復したいというニーズはあった。それを見つけるのがホントに難しい。

一方、ビジネス顧客向け(B2B)では、ニーズがつかみやすい状況がある。顧客もビジネスなので、その先のマーケットへのアクセスを常に考えているからだ。顧客が何を欲しがっているか(あるいは、現状の何が課題なのか)がわかっている。その場合は、ヒヤリング等の手法をうまく使いこなすことで、ニーズにアクセスすることができる。

シリコンバレーの凄いところは、ニーズがわからないB2Cでも新製品を生み出していることだ。Design Thinkingというのはコンセプトの段階からプロトタイプを作って、ユーザーにテストしてもらって、そのフィードバックをもらう。世の中にないものだからニーズがわからない、だからとにかく試してもらう。それを何十回、何百回と繰り返して潜在顧客を増やしていく。気が付けばニーズに引っ張られる「マーケット・プル」になっている訳だ。

 

 

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