CES 2020 概要
今年もラスベガスでCESが開催された。15年間この展示会に通っている管理人が、独自の視点で今年のCESを解説する。
全体の印象
これまで家電の王様だったテレビがその地位を失い、AIと5Gが家電をけん引する時代になった。テレビは中国メーカーが主要なサプライヤーになっている。家電の分野では中国企業のプレゼンスがますます強くなり、韓国や日本メーカーは存在感が薄れている。
ウエアラブルやデジタルヘルスでは、大きな進展はないものの、細かいところで新技術が出てきているので、今後への期待感は継続している。
自動車関連は、カーメーカーの展示がEVと自動運転に絞られてきたので、見るほうは分かりやすくなってきた。陸上の乗り物だけでなく飛行する乗り物も出てきている。
今年は来場者のなかに中国人が非常に多いと感じた。しかも、若い人が目立つ。韓国人も多い。日本人もリーマンショック以来最多だと思う。給料は上げないけど、経費は使っていいという傾向が続いているようだ。
分野ごとの特徴を以下にまとめる。
総合家電の分野では、今年は過去10年で最も進歩が見られなかった。技術革新のコアがAIと5Gになったことで、製品の表面では変化が見えにくくなっている。これまで世界の家電メーカーを牽引してきたSamsungとLGが目新しい技術を出せずに、去年の焼き直しのような展示だった。全体的に人混みが少なく、以前に比べて少し活気がない。
テレビの展示は中国メーカーに移って、韓国メーカーも日本メーカーも、普通のテレビの展示はほとんどない。
自動車関連では、出展しているカーメーカーの数は少し減っているが、展示内容がEVと自動運転に集約されてきたので見るほうもわかりやすい。North Hallの今年の目玉は電動飛行Uber を展示したBellとHyundaiだ。自動運転は、陸上の乗り物だけでなく、飛行する乗り物へと拡大している。
ウエアラブル、睡眠、デジタルヘルスといった分野では、衝撃的と言えるような新技術はなかったが、細かいところで注目すべき進歩が見られた。カフレスの血圧モニタや非侵襲の血糖値モニタなど、長年にわたり待ち望んできたデバイスが出てきた。
今年も、Eureka Park というスタートアップのコーナーが一番活気がある。最新の光学イメージング手法からジャガイモに刺すBluetoothと意味不明なものまで、見ていて飽きることがない。また、今年は数は少ないが、日本のスタートアップも20-30社が出展していて、頼もしい気持ちになった。
AR/VRやロボット、ドローンの分野では、今年は脳波を測定するデバイスが増えていた。その中で、Harvard 大学からのスピンアウトがデモしていた、上腕の筋肉の動きを計測して、義手の指を本人の意思通りに動かす技術は要注目だ。
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