リモートワークと働き方改革(2)
前回につづき、リモートワークと働き方改革について、私の実体験を今のコロナの状況に重ねて紹介する。
■ 一人働き方改革
リモートワークで地方移住を考える場合、住む場所についてもいろいろな要素が期待できる。子育ての環境や自分の趣味、親の介護や家族の健康など、その人にとって重要な要素は様々だろう。都会に住んで満員電車で通勤することから比べると、選択肢が多く何を選んでよいのかもわからなくなるかもしれない。優先順位をしっかりつけて、家族と話し合って決めていくことが大切だ。
私の場合は、駐在でカリフォルニアに生活基盤があったことや、子供たちが大学生になるタイミングだったこと、新しく始めるビジネスのロールモデルがあったことなど、さまざまな要因が重なって、アメリカに住むことに決めた。
それ以前に、人生の中で一定期間はアメリカに住みたいという思いがあったし、いつかは“社長”になりたいと思っていたことも事実だ。そういった“夢”というほどではない漠然とした“思い”が実現できたことも“一人働き方改革”を実行した副産物だった。いや、どうせ会社を辞めて人生をリセットするなら、そういった子供じみた“思い”も一緒に丸ごと実現させたいと、突き進んだというべきだろうか。
リモートワークが進むと、能力のある社員は兼業も視野に入ってくる。会社の仕事が成果で評価されるようになると、短時間で成果を出せる人材は自分の時間に余裕ができるので、その時間に他の仕事ができるはずだ。
5~6年前にシリコンバレーの特徴を表すキーワードとして“Solopreneurs”という言葉があった。起業家を意味するEntrepreneurとう単語の前半を1人という意味のSoloに置き換えた造語で、「一人起業家」といった意味合いをもつ。シリコンバレーでは能力のある人材が掛け持ちで複数のベンチャー企業の仕事をするケースがある。これを ”Solopreneurs”という。もちろん収入もその分増える。日本でも不可能ではないはずだ。
リモートワークが浸透すると地方への移住が増える理由は他にもある。日本の都市圏の住居はとにかく狭い。2LDKのマンションで子供がいる家庭では家の中でリモートワークをするスペースなどないはずだ。そもそも書斎のある家を持っている人は少ない。田舎に行って広い家に住めば、仕事用の部屋も確保できるので、働き方改革と合わせて一石二鳥だ。
リモートワークによる地方移住が大きな流れになると、都市部と地方の住宅市場にも変化がおこり、そこに新たなビジネスチャンスも生まれる。地方に移住したからといって人の移動が減るわけではなく、移動の場所や形態が変化する。ドローンタクシーの実現も近いかもしれない。そこにも、これまでにないビジネスモデルがあるはずだ。
田舎の両親がなくなって兄が実家を受け継いだときに、5年後を見据えて家の前の畑にドローンの発着場を整備しようと提案したことがある。その頃はまだ中国人のインバウンドを見込んでの提案だったが、今となっては別のモデルを考えるべきだろう。このように、リモートワークや働き方改革が新しいビジネスモデルのアイデアを生み出すきっかけになることも大いに期待できる。
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