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2021年8月18日 (水)

電気自動車(EV) への転換が加速する

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先月、EUが2035年にはガソリン車の販売を禁止すると発表した。これで、電気自動車(EV) への移行が現実的になったと思う。

 

各国の政府がEVへの移行を表明するのは、これが初めてではない。2017年頃に欧州を中心に政府の方針を示した国がある。ただ、この時は政治的なパフォーマンスの面もあるのではないかとも見受けられた。

 

2017年頃の各国の方針

イギリス

2040年までに国内でのガソリン車とディーゼル車の販売を禁止

フランス

2040年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止

ノルウェー

2025年までにEVとPHVにすることを目指す

オランダ

2025年にディーゼル車とガソリン車の禁止を目指す

ドイツ

一部の州で、2030年までにガソリン車をフェードアウト

インド

2030年までにディーゼル車とガソリン車の廃止を検討

 

実は2017年時点で、米国で販売されていたEVは10車種以上あった。しかし、実用的なEVは少なく、売れていたのはTeslaくらいだった。その後、Boltやi3、リーフなどが台数を伸ばすようになった。

 

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今回のEUの方針は、非常に現実的で実効性が高いと感じられる。2017年の頃と比べてEVの技術開発が進み、量産体制も少しづつできてきた。そして、何より販売台数がそれなりに増えてきた。2035年というタイミングも絶妙だ。不可能ではないけど、実現するにはかなりの努力が必要だ。

 

努力の中身は巨額の投資と産業構造の転換だ。投資については、すでにメーカー各社は計画を発表している。世界のEVとPHVの販売台数は2020年で約320万台だった。世界全体の自動車販売台数が5,600万台なので、割合でいうと6%弱しかない。全部をEVの生産に移行すると、さまざまな社会問題が生じる。エンジンやトランスミッションを製造する企業やガソリンスタンドと石油企業の一部がいらなくなるという、大問題が起こることになる。日本の自動車メーカーでは、EV転換のための人員削減がすでに始まっている。逆に、バッテリーとモーターを製造する会社が生まれ、AIを中心としたIT企業が伸びることになる。極端なケースでは、トヨタがGoogleやAppleの生産工場になる。水素エンジン車で時間稼ぎをしている場合ではない。

 

日本に住んでいると実感がないと思うが、カリフォルニアでは1日でテスラを100回以上見かける。冗談でも誇張でもない。実際に数えてみたことがある。昨年から今年にかけて、昼間と少し遅い夕方の時間に15分程度の場所に定期的に通っていた。その運転中にテスラを見かける回数を数えてみると、10分間で12台から15台くらいのテスラを見かける。日を変えて何度か繰り返してみても同じような台数を見かける。つまり、1時間ドライブすると90台くらいのテスラを見かけることになる。世界ではEVへの転換がすでに始まっているのだ。

 

最後に、ガソリン車がEVに置き換わる理由を見ておこう。EVの利点はおおむね以下のようなものがある。

  • 排ガスがない
  • エネルギー効率が高い
  • 独立電源の可能性
  • 制御性の良さ(自動運転)
  • 製造工程が簡略
  • 保守・点検が少ない
  • 騒音が小さい

 

この中で、特に注目すべきはエネルギー効率だ。下の図は、慶応大学の清水先生の計算による、ガソリン車とEVのエネルギー効率の比較である。両方とも原油を出発点にして計算している。EVでは(原子力ではなく)火力発電の電力を使うことを前提に計算しているにもかかわらず、35%という高いエネルギー効率を実現している。一方、ガソリン車ではエンジンとトランスミッションの効率の悪さが原因で8.6%と低いことがわかる。将来、再生可能エネルギーの電力が利用できるようになれば、EVのエネルギー効率はさらに高くなる可能性もある。上記の他の利点も合わせると、EVにしない理由がない。

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