アメリカで見つけた、おもしろ新技術(8); シャコパンチ
シャコの仲間で ”mantis shrimp” というザリガニがいる。このザリガニは水中で貝にパンチをして殻を割って中身を食べる。そのパンチ力は水中の生物で最強だと言われている。
A mantis shrimp. Credit: Silke Baron
水の抵抗を受けながら硬い貝殻を割る衝撃力は確かにスゴイ。それだけの強力なシャコパンチだが、なぜシャコの腕は壊れない(ケガをしない)のだろうか。その謎を解明した先生がいる。カリフォルニア大学リバーサイド校のDavid Kisailus教授だ。
先生の解析によると、シャコの腕はパンチをしたときに2度の衝撃を受けるという。最初の衝撃は相手の貝殻に衝突したときの反作用で2度目の衝撃は反発の際に接触面近傍が真空になりその“泡”が消滅するときの衝撃、つまりキャビティ効果の衝撃なのだとか。シャコの爪はそういった2度の衝撃に耐えることができる。
先生は、シャコの爪の内部構造を詳細に観察し、再表面が硬くその内側に衝撃を吸収する微細構造があることをつきとめた。
(Image: by David Kisailus , UC Riverside)
この構造を模倣することで、人工的に耐衝撃材料をつくることができる。それは薄い形状でも分厚いウレタンと同じような衝撃吸収能力があるのかも知れない。ヘルメットや航空機、宇宙船の材料など用途は広い。
先生は、シャコパンチ以外にキツツキの脳みそがなぜ動かないのかという研究もしている。ユニークだ!
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