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2021年12月 3日 (金)

海外に住む日本人に冷たい日本

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オミクロン株の出現で岸田総理の対応は早かった。世界からの外国人の入国を禁止した。しかし、国交省がやりすぎた。海外にいる日本人に対して、帰国のための航空券を販売停止にした。そして、その3日後にそれを撤回した。しかも、日本人も入国禁止にすると言わずに、航空会社に切符を売るなと指示するところがセコイ。国交省の監督の範囲で忖度するとこうなったということか・・

日本に住んでいる人には関係のないことなので、ことの重大さが分かりにくいかもしれないが、海外在留邦人にとっては「日本に帰って来るな」と言われているワケで、日本から切り捨てられたという悲しい気持ちになる。

日本政府はわれわれ海外に住む日本人を本当に守ってくれるのだろうかと、いつも不安に感じながらアメリカに住み続けている、というのが正直な気持ちだ。

以下は、私の個人的主観ではあるが、多くの海外在住の日本人の皆さんが共通して感じていることとして、日本の皆さんにも知っておいていただきたいと思う。

 

日本という国は海外在留邦人に冷たい

20年近くアメリカに住んでいて、常に感じていたのが、この日本政府の冷遇だ。政府だけではなく、日本の国(政府や社会、そして個人)はびっくりするほど、海外に住んでいる日本人に対して冷たい。

海外在留邦人も国政選挙の投票ができるようになっている、だから冷遇されているわけではない、という反論もあるだろう。しかし、海外から自国の選挙に投票できるのは世界の当たりまえで、日本だけがやっていることではない。当然の国民の権利だ。

 

コロナでの海外からの帰国者への冷たさ

この2年間のコロナの対応でも、海外の日本人に対する“厳しさ”が目についた。

まず、私自身が日本に行ったとき、日本の知り合いから「君のような海外から来る日本のビジネスマンが、ルールを守らずに出歩いて感染を広めている!」と言われたことがある。まあ、そういう人もいるだろうけど、驚いたのはコロナの感染について、日本では個人が個人を攻撃するということだ。海外から帰ってきた日本人に対して、日本に住んでいる日本人が攻撃をする。本来、避難すべきは適切な対策を取らない行政であって、個人ではないはずだ。

もう一の事例は聞いた話だが、九州にいる親の危篤で帰国した女性が、成田空港からの移動手段がなく、ホテルに滞在したのち諦めてアメリカに戻ったという。結局、親の死に目に会えなかった。誰が考えてもおかしいだろうと思う。オリンピック関係者には特例を認めておいて、自国民の(不要不急とは言えない)特別な理由に対しては規則を厳格に適用する。

 

的外れなNHK

地域もよるが、アメリカのテレビを地上波放送でみると、メジャーな放送局は1つか2つしかなく、あとは古い番組を繰り返しているチャンネルや外国の放送ばかりだ。その外国の放送には、スペイン語(メキシコ)、中国語、韓国語、ベトナム語、など多くの国のチャンネルがあって、自国の番組に英語のテロップを付けて放送している。地上波の無料放送のなかに、日本語のチャンネルはない。

アメリカで日本語の放送はケーブルテレビの「テレビジャパン」というチャンネルがひとつあるだけだ。そこで放送されているのは主にNHKワールドJAPANいうNHKの”英語放送”と一部の日本語番組だ。

つまり、NHKワールドJAPANは海外の外国人に向けた、日本からの情報発信であり、海外にいる日本人のためのものではない。

30年前までは、これでも良かったのだろう。しかし、海外に住む日本人が増えた今、海外在留邦人が求めるのは”日本のPRのための放送”ではなく、日本人が日本人として欲しい情報やエンタメの放送だ。NHKはそれを理解せずに、延々と”英語での日本の放送”を続けている。(これでは、”海外への発信をしています”という総務省へのアリバイ作りのためにやっているのではないかと勘繰りたくもなる。)

数年前からNHKのオンデマンド配信の3番組が1日遅れでアメリカも見られるようになって、インターネット経由で日本語ニュースがそのまま視聴きる。しかし、これは国内の民放のオンデマンドサービスに対抗するためのもので、その一部を海外ら視聴できるようにしたにすぎない。

ちなみに民放のオンデマンドサービスは海外では視聴できない。

 

JRパス

日本に住んでいると関係のない話だが、ジャパン・レール・パスというのがある。インバウンド促進のツールとして、JR6社が共同で提供している、外国からの旅行者が使える有料で期間限定の周遊乗車券(のぞみ、みずほ除く)だ。ヨーロッパ、アメリカや南米等で永住権を持っている日本人も購入することができる。

これは、海外に住んでいる日本人にとって、唯一の”特典”のようなものだった。上に書いたように、いろいろな場面で日本から冷遇されていると感じながら生活している海外在留邦人にとって、ただ一つ”日本人でよかった”と思えるものだ。

ところが2016年にJRは、このパスの日本人(海外在留邦人)の購入を認めないと発表した。つまり、アメリカに永住権を持っていても日本国籍の人は買うことができなくなる。まして、アメリカやブラジルに移民できた人たち(現地では彼らのことを”一世”と呼ぶ)も、この対象となった。これは、ただ単にJRの周遊券を買えないという問題ではなく、”日本から切り捨てられた”という悲痛な思いを与えるものだった。当時の移民は国策によるもので、移民してきたとは言え日本を捨てたわけではない、という悲しい気持ちになる。

ブラジルの日系社会を中心とした嘆願運動で、結局JRは2020年のオリンピックまで(延期に伴い2023年に延長)という期限付きではあるが、永住権を持つ日本国籍の人にも販売を認めると、方針を転換した。

結果はこれでよかったのだが、ここでも海外に住む日本人の存在を無視した施策が行われたことに、残念な気持ちにさせられる。

 

日本への思いは日本にいる人よりも強い

日本は島国で地理的には世界から分離されているから、行政や公共サービスは国内に限った考えをするのも判らないではないが、もう少し海外に住む日本国民のことを意識してもらいたいと思う。

そして、個人としての立場では、日本を出て行ったヤツに配慮してやる必要はないと、漠然とでも思っている人が多いのではないだろうか。

海外に暮らしている日本人は、個々にいろんな事情で日本を離れているが、”日本を捨てたワケではない”という思いをみんな持っている。むしろ日本にいる時よりも強く日本を意識して、”日本のために何かしたい”と思いながら海外で生活していることを分かってほしいと思う。

人の動きがグローバルになっている今、国土は限られているが日本国民は世界中にいるという認識で、政治や行政を進めてもらいたいと思う。もそして個人の意識もそうなってほしいと願う。

 

 

 

 

 

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