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2022年1月17日 (月)

アメリカで見つけた、おもしろ新技術(11); 超微細構造

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第11回は超微細構造を作っている先生の話。

 

California Institute of Technology (Caltech) にJulia R. Greerという先生がいる。彼女の研究室では、とんでもなく微細な構造物を作っている。

2つのレーザービームを照射してポリマー材料を硬化させる2ビーム硬化による微細造形で、梁構造を階層上に形成する技術だ。下の写真をみればわかるが、ひとつの塊の大きさが数十ミクロンで、梁のひとつひとつはナノメーターのサイズだ。

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(Image: micrographs of example nanotrusses fabricated by Prof. Julia Greer's group at Caltech.)

 

写真ではコントラストがあるが、実際には白いカスミのような“物体”で手のひらに載せても重さを感じないほど軽い。エアロゲルによく似た性質に感じられた。この材料の特徴は軽いだけではなく、加重に対して非常に強いことだ。エアロゲルも軽いが、構造的にはアモルファス状なので、強度ではこの材料の方がはるかに強靭だろう。梁の組み合わせで構成されているので、設計段階での強度計算も可能で目的に合わせた最適な構造を設計することができる。

さらに、構造の作り方によっては伸縮変形にも対応できるという。彼らはこれを“メタマテリアル”と呼んでいる。

(一般にメタマテリアルと呼ばれているものは、表面プラズモンの周期構造による電磁波に対する負の屈折率材料のことを言い、彼らはそれとは別の意味でメタマテリアルと呼んでいる。)

これが実用化されれば、超軽量の構造体ができるので、車や航空宇宙、ロボット、衣類や防護服など用途は無限に広がる。夢のような話ではあるが、最大の課題はコストだろう。2ビーム硬化は製作時間が長く装置も大掛かりなので、コストは高くなるだろう。まずは高コストでも使えるアプリケーションを探すことになる。

 

 

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