テクノロジー・サイエンス

2020年3月 9日 (月)

スタートアップを作るメリット

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「日本企業のための シリコンバレー流イノベーション」というタイトルのeブックで日本企業のイノベーションに向けてのアプローチを解説している。

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その中で、新しい研究成果の事業化のためには、アメリカでスタートアップを作ることを提唱している。今回の記事では、アメリカにスタートアップを作るメリットを解説してみたい。

 

比較するのは社内での事業化プロジェクトだ。会社によっては社内ベンチャーとして立ち上げるケースもある。社内での事業化の場合は、人的リソースの不足や社内ルールによる決断の遅さ、さらに未経験のビジネスモデルなどの要因で失敗する可能性が非常に高い。外部のスタートアップにすることで、それらの問題を回避して成功の確率を上げることができる。

 

社内ベンチャーではなくスタートアップにする利点は大きく4つあると考える。

 

 

1)経営の柔軟性とスピード感

社内での事業化を目指す場合は、日本の会社の既存のルールに縛られることになる。稟議や経理処理ルールなど、皆さんが普通だと思っていることが、世界では普通ではないことが多い。これが、スピード感のなさや柔軟性のなさとして表面化し、失敗することになる。

会社から切り離してスタートップにすることで、スピード感のある経営判断と柔軟な対応が可能になる。

 

 

2)市場へのアクセス

米国市場を目指す場合、現地の潜在客先に、早い段階からアプローチをして、試作品のデモや提供と客先からのフィードバックを基にした改良を繰り返す開発スタイルをとるのが現在の開発手法だ。

開発拠点を日本の会社から切り離して米国にスタートアップを作ることで、そういった潜在顧客へのアクセスに柔軟に対応する体制を作ることが成功につながる。

 

 

3)人材(専門性、熱意)

開発した技術が自社にとって新しい分野であれば、その専門知識をもつ人材を確保する必要がある。社内で行う場合は、社員の中から人選をしようとするので、最適な人選ができない。社内ベンチャーに社員を横滑りさせることは、実は最大の弱点になる。

スタートアップの場合は、自社が得意な部分を自社で担当して、スタートアップにはそれ以外の開発とマーケティングに集中してもらう。そのための専門家を現地で採用することで、トップレベルの人材を確保できる。必要に応じて外部専門家を活用することもできる。

 

 

4)ビジネスモデル

会社にとって未経験の分野で、新しいビジネスモデルを作る必要がある。自社で開発をすると、最終製品の生産と販売をすべて自社でおこなうことになる。

スタートアップにすることで、自社は主要部品のサプライヤーという立場になって、製造販売はスタートアップでやるケースなど、ビジネスモデルの選択肢が増える。

 

 

 

 

 

    欧米での新技術調査、オープンイノベーションのご相談は TechnoScape, LLC まで。

 

 

2020年2月21日 (金)

EVの時代が来る

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カリフォルニア州の自宅の近所では、1時間でテスラを100回見かける。嘘ではない。昨年テスラの数が爆発的に増えた。ベンツが好きな中国人も最近はテスラを買っている。アメリカ人の友人も何人もテスラを持っている。

 

あまりに急激にテスラが増えたので、自分で数えてみた。買い物などで出かけるときに、一般道を走りながら見かけるテスラを数える試みだ。時間帯にもよるが、去年7月頃に何度かやってみたときは、15分間で7~8台のテスラを見かけた。1時間あたりに換算すると30台くらいだ。次に10月頃にもう一度数えてみると、10分間で12台は見かけるほど増えていた。1時間に70台だ。その後は数えていないが、年が明けてさらに増えているように感じる。

 

2019年の米国の新車販売台数は約1,700万台だった。自動車販売は好調を維持している。その中でEV(電気自動車)は24万台が販売された。しかもEVの中ではテスラが8割のシャアを占める。

 

2019年のテスラの世界での販売台数は 367,500台で、これは同社の過去2年間の合計を上回る。テスラが販売を伸ばした要因は低価格のモデル3の量産体制ができたことと、米国では連邦政府や州政府の補助金があったことだ。

 

米国の中でも特にカリフォルニア州は充電ステーションなどの整備が進んでおり、他の地域よりもEVが普及する環境が整っている。そういった事情もあり、カリフォルニアでテスラが売れている。

 

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EVの販売台数は、米国全体の自動車販売台数の1.4%だが、今後EVが自動車産業の主流になることは間違いない。

 

理由はいくつかある。まず第一に、エネルギー効率が良い。ガソリンエンジンの車は原油を精製してガソリンに加工し、それをタンクローリーで販売店(ガソリンスタンド)に輸送する。車の中では内燃機関(エンジン)で燃焼エネルギーを運動エネルギーに変換する。それをトランスミッションで機械的に減速して動力にする。一方EVでは、原油を使って火力発電した電力を送電線を使って輸送して、充電器で車のバッテリーに蓄える。バッテリーの電力を取り出してモーターを回すことで動力を得る。それぞれのエネルギー効率を計算して掛け合わせると、ガソリン車のエネルギー効率は約8.6%で、EVのエネルギー効率は約35%になるという。つまり、EVのほうがガソリン車よりもはるかにエネルギー効率が良い。

 

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二番目の理由は、車体の構造が単純であることだ。ガソリンエンジン車は1台に3万点の部品が使われるという。非常に複雑な構造をしている。一方、EVはシャーシーにバッテリーパックを敷き詰めて平らな床を作る。そのうえに車軸とモーターを取り付けて、あとは座席やハンドル等を組み付ける。非常に単純な構造だ。エネルギー効率だけを議論するとPHEV(プラグイン・ハイブリッド)や燃料電池車も競争できるが、車体構造の単純さで見ると、EVが断然有利だ。

 

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日本ではEVが普及するのはまだ先のことだと感じている人が多いが、世界はすでに動き出している。もちろん日本を含めて世界の自動車メーカーはこの状況を分かっているはずだが、取り組みが遅れているように見える。

 

 

 

    欧米での新技術調査、オープンイノベーションのご相談は TechnoScape, LLC まで。

 

 

 

 

 

 

 

2020年1月17日 (金)

e-ブックのご紹介

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これまでのブログ記事にケーススタディを加えたものが e-ブックになりました。e-ブックサービスの“スキルアカデミー”から出版されます。

 

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タイトルは、「日本企業のための シリコンバレー流イノベーション」

このe-ブックは4部構成で、部ごとの購読ができます。興味のある方は、下のリンクからスキルアカデミーのサイトにいき、e-mailを登録したうえで購読してください。

 

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日本でオープンイノベーションが話題になるようになってしばらくたつが、なかなか成功したという話をきかない。日本のオープンイノベーションは的外れだ、日本企業のオープンイノベーションは中身がない、などという言葉もネットにあふれている。オープンイノベーションはこのままバズワードになってしまうのだろうか。

 

本書は15年間アメリカに住んで先端技術の調査をしてきた著者が、スタートアップや大学の研究室との交流をもとに、米国でのイノベーションの実態を解説する。そして、独自の視点でオープンイノベーションを分析し、日本企業ができるイノベーションのアプローチを提唱する。

 

第1部 シリコンバレーの真実

第1章 シリコンバレーの秘密

第2章 シリコンバレーのイノベーション

 

第2部 オープンイノベーションのウソとホント

第1章 間違いだらけのオープンイノベーション

第2章 オープンイノベーションはだれのもの

 

第3部 オープンイノベーションの成功事例

第1章 スタートアップのオープンイノベーション(ケーススタディ)

第2章 オープンイノベーションの入り口は米国の大学にある

第3章 オープンイノベーションのプラットフォーム

 

第4部 2030年の技術社会 (2月公開予定)

第1章 自動車業界のパラダイムシフト

第2章 地域社会のエネルギーインフラ

第3章 情報コンテンツの消費形態

第4章 DNAが設計図になる

 

 

 

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2020年1月12日 (日)

CES 2020 概要

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今年もラスベガスでCESが開催された。15年間この展示会に通っている管理人が、独自の視点で今年のCESを解説する。

 

全体の印象

 

これまで家電の王様だったテレビがその地位を失い、AIと5Gが家電をけん引する時代になった。テレビは中国メーカーが主要なサプライヤーになっている。家電の分野では中国企業のプレゼンスがますます強くなり、韓国や日本メーカーは存在感が薄れている。

 

ウエアラブルやデジタルヘルスでは、大きな進展はないものの、細かいところで新技術が出てきているので、今後への期待感は継続している。

 

自動車関連は、カーメーカーの展示がEVと自動運転に絞られてきたので、見るほうは分かりやすくなってきた。陸上の乗り物だけでなく飛行する乗り物も出てきている。

 

今年は来場者のなかに中国人が非常に多いと感じた。しかも、若い人が目立つ。韓国人も多い。日本人もリーマンショック以来最多だと思う。給料は上げないけど、経費は使っていいという傾向が続いているようだ。

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分野ごとの特徴を以下にまとめる。

 

総合家電の分野では、今年は過去10年で最も進歩が見られなかった。技術革新のコアがAIと5Gになったことで、製品の表面では変化が見えにくくなっている。これまで世界の家電メーカーを牽引してきたSamsungとLGが目新しい技術を出せずに、去年の焼き直しのような展示だった。全体的に人混みが少なく、以前に比べて少し活気がない。

 

テレビの展示は中国メーカーに移って、韓国メーカーも日本メーカーも、普通のテレビの展示はほとんどない。

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自動車関連では、出展しているカーメーカーの数は少し減っているが、展示内容がEVと自動運転に集約されてきたので見るほうもわかりやすい。North Hallの今年の目玉は電動飛行Uber を展示したBellとHyundaiだ。自動運転は、陸上の乗り物だけでなく、飛行する乗り物へと拡大している。

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ウエアラブル、睡眠、デジタルヘルスといった分野では、衝撃的と言えるような新技術はなかったが、細かいところで注目すべき進歩が見られた。カフレスの血圧モニタや非侵襲の血糖値モニタなど、長年にわたり待ち望んできたデバイスが出てきた。

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今年も、Eureka Park というスタートアップのコーナーが一番活気がある。最新の光学イメージング手法からジャガイモに刺すBluetoothと意味不明なものまで、見ていて飽きることがない。また、今年は数は少ないが、日本のスタートアップも20-30社が出展していて、頼もしい気持ちになった。

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AR/VRやロボット、ドローンの分野では、今年は脳波を測定するデバイスが増えていた。その中で、Harvard 大学からのスピンアウトがデモしていた、上腕の筋肉の動きを計測して、義手の指を本人の意思通りに動かす技術は要注目だ。

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CES2020の詳細のレポートはこちら

CES 2020 展示会レポートのご案内

分野ごとの今年の傾向、独自の視点で全体のトレンドを総括、約120社の展示内容と900枚の写真データをパッケージにしてお届けします。

https://www.technoscape.us/CES2020%20Report-1.html

 

 

 

 

 

 

2019年11月18日 (月)

シリーズ: シリコンバレーの真実 (第6回) 現在のシリコンバレー

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2019年11月 8日 (金)

シリーズ: シリコンバレーの真実 (第5回) イノベーションの方法論

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2019年10月14日 (月)

シリーズ: シリコンバレーの真実 (第4回) シリコンバレーのスタートアップ

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2019年9月24日 (火)

シリーズ: シリコンバレーの真実 (第3回) マーケット・プルで行こう!

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2019年8月10日 (土)

シリコンバレーの真実 (第2回)研究開発アプローチの歴史

 
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2019年8月 2日 (金)

シリコンバレーの真実 (第1回)シリコンバレーの秘密

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